粉末冶金用 金型潤滑油 Water Free Concept

ダイカスト用油性離型剤で培った高付着・高潤滑+少量塗布技術を応用・発展させ、
従来の潤滑油では実現できなかった粉末冶金用金型潤滑剤をコンセプト品として紹介。
※この製品は現在開発中のコンセプト品です

粉末冶金とは

粉末冶金 金属の粉末を金型に入れて圧縮して固め、金属が溶けない程度の高温で焼結して精度の高い部品をつくる技術のことを言います。

主に自動車や家電製品の分野で使用され、金属粉から製品を成形するため、融点や比重の組合せで均一な組織をつくりにくい合金の製造に適しています。

また、金型によるニアネットシェイプ成形法で、歩留まりが良く、切削加工のように捨てる部分が少ないため、量産性に優れ部品一体化などによるコスト低減が可能になります。

代表的な生産工程

粉末冶金の生産工程は大きく分けて4つに大別されます。

①混合工程
 用途に合わせて金属粉を調合し、成形時の潤滑性を考慮して微量の粉末潤滑剤(バインダー剤)を混合します。

②成形工程
 金型に混合した金属粉を充填し、プレス機で圧縮して成形します。

③取出し工程
 成形された製品を下プレスで押し上げ取出します。

④焼結工程
 取出された製品を金属の融点以下で焼き固めます。この際、混合された余分な粉末潤滑剤を燃焼させます。

粉末冶金の生産工程

開発コンセプト

混合工程において金属粉と混合される粉体潤滑剤は、成形時の金型と製品間の潤滑の目的で添加されています。
添加された粉末潤滑剤は焼結工程において、燃焼されガス化・空洞を生成し、この空洞が製品の密度と強度を損なう原因となっています。
この添加量を極力減らし、低下した潤滑性を金型に直接潤滑油を塗布することで補い、高圧縮に耐える潤滑性を付与することで高密度化を達成するコンセプトです。

<摩擦>

粉末潤滑剤を削減するためには、減らすことで生じる成形時・取り出し時の潤滑不足を改善する必要があります。
ダイカスト用離型剤で培った配合技術の応用で、極少量を薄く均一に金型に塗布できる潤滑剤を開発しました。
この潤滑剤を使うことで、粉末潤滑剤の添加量を従来の1/4に減らしても従来同様の摩擦係数を実現できます。

摩擦係数を比較

<密度と強度>

製品として不要な粉体潤滑剤を減らすことで圧縮体中の空間(隙間)は減りますが、潤滑性が悪くなり、カジリが発生します。
しかし、減らした粉体潤滑剤の代わりに金型潤滑油を塗布することで摩擦係数が下がり、カジリを抑制できます。
そのため、従来では実現できなかった高圧圧縮が可能となり、鉄本来の真密度により近い高密度な製品の成型が可能になります。
これにより、強度が向上します。

製品密度と圧縮圧 / 焼結体強度の向上

製品化に向けて

同商品の開発は、平成24年度に採択され戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン)によって行われたものです。
今後、同研究成果を踏まえさらなる改良を加え、製品化に向けて取り組んでまいります。

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